●閏(うるう)年と仏壇
今日の閏年は四年に一度一日を修正して三百六十六日とするだけですが、旧暦の閏年は何と十三ヶ月間ありました。禄高で年間の給料(奉給)を決められている武士は一ヶ月分をどこかで倹約しなければなりませんでした。そこで各地の大名がだしたのが倹約のすすめで、不用不急のものはなるべく後回しにすることをすすめたのです。今日からは考えられないような禄高制度の名残なのです。
●新仏(ほとけ)が出る
先祖や死者の出ていない家庭は一軒もありません。仏壇がないからといって永遠に生きていられることもありません。迷信の最もたるものです。
●各宗派のご本尊
仏の道にたどり着くには色々な道があります。各宗派のご本尊は、中心となる経典をもとに有縁の仏さまをご本尊としています。
仏さんの姿や形には立像、座像などがあり、宗派によって一定の決まりがあります。お寺さんに相談して正しいものを求めてください。脇侍(脇掛)もそれぞれに異なります。ご本尊と一緒にお求め下さい。
天台宗 | 阿弥陀仏、釈迦牟尼仏、薬師如来など |
真言宗 | 大日如来 |
浄土宗 | 阿弥陀如来 |
浄土真宗 | 阿弥陀如来 |
曹洞宗 | 釈迦牟尼仏 |
臨済宗 | 特定していない(釈迦牟尼仏が多い) |
日蓮宗 | 十界曼茶羅、釈迦牟尼仏 |
●お仏壇の種類と価格
大まかに分けて
@金仏壇(漆金仏壇)
A唐木仏壇
があり、そのほか宗派や安置する場所によっても違った形のものがあります。
金仏壇は豪華さ、唐木仏壇は木目の美しさが特徴といえます。
さらに「台付き」と「上置」に分かれています。安置する場所やスペースによって選んでください。
仏壇は大きいから高級、高額とは限りません。製造工程で多くの手加工を要しますので、小さくても精緻で、手をかけたものもあり、使用する素材や金具の種類などによっても価格が異なります。
説明を良く聞いたうえで納得できるものをお求め下さい。
●開眼法要
お寺さんで新しく仏像を設立されると必ず「開眼法要」が営まれます。これとおなじようにご本尊の仏像や御軸をいただき、お仏壇をお求めになった際は、お寺さん同様に「開眼法要」(入仏式)をお坊さんにお願いしてとり行ってください。
"仏作って魂入れず"ということわざがあるように、宗教には法要の儀礼が欠かせない大事なことです。
古い本尊をそのまままつり、仏壇だけを買い替えた場合は古い仏壇の撥遣(み霊抜き)をお坊さんにお願いします。
●お仏壇の掃除と手入れ
仏壇は直射日光や湿気や極端な乾燥を嫌いますし、塩分やこぼれ水でも痛みやすいものです。ていねいに取り扱ってください。
金箔の箇所は手バタキでそっとほこりを払ってください。直接手で触れたり、布では拭かないことです。
それ以外のところは、やわらかい布地やシリコンクロスで空ぶきします。
ご仏像や位牌、扉や内障子のサンにたまったほこりは、穂先の柔らかい毛筆で払ってください。
蝶番やかざり金具の部分は、手をふれた後は軽く布で拭き取ってください。
指紋がついたまま放置すると、次第に光沢がなくなってきます。
●白木位牌と本位牌
葬儀のとき用いられる位牌は白木の位牌です。最上部に(新帰元、真如、新帰寂)などの文字が書かれていて、これは「もとの真実の世界にもどる」という意味ですが、無事四十九日間の法要(忌明け法要)をつとめおえると、この白木位牌は本位牌(黒塗り金箔つきや唐木位牌など)に替えねばなりません。早めに仏壇仏具店に調製を頼んでおき、忌明け法要時にはご僧侶に開眼をしていただきます。と同時に白木位牌はお寺さんに預かってもらいます。
なお浄土真宗では位牌は用いません。過去帳に記入したり、法名軸として仏壇にまつります。
●戒名と法名・法号
戒名は厳しい戒律を守る生活に入った出家者だけに贈られるものでしたので、一般の人はきびしすぎてなかなかいただけません。そこで今日では一定の講習会や儀式を受けた人にさずけられるようになりました。死者に贈られる名前のように思われていますが、仏弟子の証としてつけるのです。
宗派によっては戒名といわず、法名・法号と呼びます。親鸞聖人は「何一つとして戒を守れない凡夫だから、阿弥の誓願によってのみ救われる」との教義を打ち立てましたので、戒名はありません。浄土真宗では仏弟子となるには「おかみそり」を受け、法名をいただきます。
●仏具のいろいろ
お仏壇には荘厳が必要です。献花、献灯、献香、献供の器類や、カネや木魚などの鳴物などです。
<燭台(ローソク立て)>
<香炉>
<花立て>
<茶湯器>
<仏飯器>ご飯を盛る器
<高杯>菓子、果物を盛る器
<リン(カネ)>
<木魚>
<打敷>
以上は最低限必要なものですが、法事などの際は三具足(香炉一、燭台一、花立て一)から五具足(香炉一、燭代二、花立て二)などに使い分けされています。
宗派によっては戸張、瓔珞、華鬘も使います。
●給仕の作用
お仏壇は仏に帰依し、ご先祖さまに報恩感謝する所ですから、常にきれいにしておく心がけが必要です。
ちりやほこりが積もってないか、花が枯れてないか、仏飯がカチンカチンになっていないか、など敬う心で給仕することが肝心です。日々のおつとめは、
@朝食の前に、茶湯、浄水を供える。仏花をお供えして、灯りをともし、お香をあげる。
A正座して、手に数珠をかけ、礼拝、合掌する。
Bいただきものや、旬の収穫物は、まず仏前にお供えします。
C日中は扉を開放しておきます。(内扉は閉めてもかまいません)
D寝る前に火元を確認する。